農園などでは花粉交配をしてくれるミツバチは大切なパートナー
花粉交配用のミツバチが全国的に不足し、深刻な問題になっています。
鋭い針を持っていて恐ろしいイメージのあるハチですが、農作物を作る農園などでは花粉交配をしてくれるミツバチは大切なパートナーです。
いちごやメロン、スイカなどの農作物は、花粉をオシベからメシベに受粉させる必要があります。しかし、広大な農園でその作業を手作業で行うのは骨の折れる作業です。 そこで、ミツバチをその農園一体に放しておけば、自然の力で花粉交配を行ってくれるのです。
そんな必要不可欠な存在のミツバチが2009年に全国で不足する事態が起きています。 特に、サクランボの産地の山形県や、イチゴの栽培をしている静岡県、スイカをつくる神奈川県など全国の21都県で深刻な問題となっています。
ミツバチ不足の原因
このミツバチ不足の原因はいくつかあります。女王蜂の主要供給国のオーストラリアからの輸入が防疫を理由に途絶えたことも理由のひとつです。
また、真相はまだ明らかになっていないものの寄生ダニが発生する病気でミツバチが大量死したという声も上がっています。その他には、農薬によってミツバチが死んでしまったという説もあるようです。
いずれにしても、ミツバチが不足するということは、農作物が採れなくなってしまうため、果物などの価格が高騰しかねない深刻な状況となっています。その影響でミツバチの売買やレンタル価格が急上昇しており農家が悲鳴を上げている状況です。
農林水産業セーフティネット資金
もちろんその影響は消費者にも出てくる可能性が大いにあります。 このような事態を踏まえて、農林水産省では生産局内にミツバチ専門の担当者を置くこととなりました。このことにより、全都道府県のミツバチの過不足をデータ化し、不足している産地に余裕がある産地から供給することを目指しています。
これと同時に、花粉交配に変わり人工授粉をする際のコスト上昇を考慮した「農林水産業セーフティネット資金」の低利融資を受けられるようにしました。 このことにより、どこまで問題が解決するかはわかりませんが、国をあげての対策が行われているのが事実です。
私たちが普段何気なく口にする、メロンやイチゴ、スイカや梨はミツバチの花粉交配によって作り上げられています。そのため、生産者だけではなく消費者にとっても、この不足問題は楽観視できません。
ミツバチのためにも自分たちのためにも、生産者は的確な飼育方法を学ぶ必要がありますし、一丸となってこの問題を解決する必要があるでしょう。